医療の世界で、インフォームドコンセントの大切さが言われます。私は整体術のような民間療法においては、医師以上にこのことを重要視しなければいけないと考えています。

何故なら来院される方の多くは、痛い身体をかばいながら、これからどんな施術をされるのか不安で一杯だと思われるからです。

来院される方の中に優秀な歯科医師がおられますが、治療の時間より治療の説明に時間をかけることも少なくないと言われ、感銘を受けたことがあります。

整体術は骨格の歪みや関節のズレのために起こった不具合を改善する手技療法です。また整体やカイロプラクティックには様々なテクニックがあり、多くの立派な施術師が存在します。

しかし患者さんが施術の内容や施術師に対して疑問をお持ちであれば、いい治療も出来ません。ですから私は患者さんとのコミュニケーションを施術と同じくらい大切にしています。できるだけ詳しくお身体の状態や施術の内容を説明するとともに、ご質問にもわかりやすくお答えすることは施術師としての義務であると考えています。

また電気や機械は一切使用せずに手技のみで施術を行います。ですから１日に治療できる人数も限られてきます。

来院される方の多くは、病院において、高度な検査機器や治療機器を駆使しても尚、病気に苦しんでおられる方々です。高度な機器による検査でも異常の出ない筋肉の硬化や関節の微妙なズレが原因の症状に繊細な手技を用いてアプローチします。

しかし治すのは患者さん御自身の自然治癒力であり、施術師はそれを引き出す手助けをしているにすぎません。整体術は身体の歪みを無理に揃えるものではなく、正常な骨格に戻るように、身体を整えていくものです。

しかしその施術の根幹において、欧米のカイロプラクティックやオステオパシー、東洋医学等で研究された理論と技術が非常に役立っています。経験や勘というものももちろん大切ですが、上記の理論をベースにしてこそ整体術の効果は発揮されます。

偉大な先人達が多大な努力と年月をかけて築き上げられた手技療法を営利に走ることなく謙虚な気持ちを忘れずに、多くの困っておられる方のために活用しなければならないと考えています。

また西洋医学の検査や治療を否定しているわけではなく、�]線、 CT や MRI といった検査により多くの重大な疾患が発見され、すぐれた薬や高度な手術、それも医師、看護士、薬剤師、�]線技師等の医療関係者の多大な努力により多くの方が救われていることは言うまでもありません。