整体師になるには、どうしたらいいのかというご質問をときどき受けます。整体の学校に入学して学ぶ方法、整体院に弟子入りして学ぶ方法など、道はいろいろあります。
しかしその前に、何故整体師になりたいのかをよく考えてみられる必要があると思います。私は、整体の学校に行って、また卒業後に開業して、成功している人と失敗している人をたくさん見てきました。
成功している人を見てみると、ご自身が過去に椎間板ヘルニア等で苦しんでいたときに整体の施術を受けて治り、今度は自分が整体の技術を学んで、人を治してあげたいというような方。
そのような方は、ご自身が苦しんでおられた経験があられるだけに治療への熱意も人一倍強く、成功されることが多いようです。
また、ご家族にスポーツをされておられる方がいて、そのケアをするために整体を習ってやっているうちに、口コミで周囲の方たちからも治療を頼まれるようになられて開業された方。そのように自然に施術の自信と患者さんが増えてくるのも理想的だと思います。
それに対して失敗された方をみていますと、整体の学校に入学しても、気軽な習い事をしている感覚で、勉強に対する姿勢も受身的な方。
たとえどんな整体の学校に入学しても、自分から積極的に質問していくような熱意がないと、整体師の資格だけもらって、症状を改善できない名ばかりの整体師になってしまう可能性があります。
また、ネガティブで愚痴の多い方。ある方は、自分が就職できないのは社会が悪いといわれていました。
確かに不景気で就職難ですが、そんなときでも前向きに頑張っている方と、愚痴ばかり言われている方では、人間性の差を感じてしまいます。
整体師の仕事は、知らない方たちが大事な体を預けて治療を受けられるものです。技術はもちろんですが、まず第一に人間的にも信頼関係がないと仕事は成り立ちません。
それには状況がたとえ苦しくても、前向きで明るい方のほうが、整体師には向いていると思います。
整体も自営業なので、経営は良いときもあれば、悪いときもあります。悪いときでも前向きに頑張れる強い意志が必要な仕事なのです。
それと多いのが、卒業して資格をもらい、設備や広告にお金をかけさえすれば成功すると安易に思われているかた。整体の技術はまだ未熟なのに、高価な機械や電気などの治療器をそろえて広告費をかけられる。
私は、機械や電気治療器を否定するわけではありませんが、まずは整体師は、手技のみで改善できることが基本だと思います。手技で改善できないのに、機械や電気に最初から頼っていては、肝心の手技療法は伸びないのでないでしょうか。もちろん手技も、すでに充分に自信と実績があるが、機械や電気治療器具も治療に取り入れたいと言われるのならば、素晴らしいと思います。
また、いくら広告宣伝をしても効果がないと、一度来られた方は二度とは来られません。
本当に、改善できる力があるのか、そうでないのかを開業する前に、友人や知人に協力してもらってボランティア治療されたりして、しっかりと確認されておかれると良いと思います。もしも、うまく効果が出せないときは、習われた先生からのアドバイスを受けたり勉強をしましょう。
整体の学校には代表的なもので、アメリカ発祥のカイロプラクティック系、中国発祥の中国整体(推拿)系などがあり、他にもたくさんの流派のものがありますが、まずはご自身が実際に受けてみられて、自分に合っていて気に入ったと感じたものを選ばれるのが一番だと思います。
また、学校の知名度や規模の大きさだけでなく、実際の施術効果が高いと思われるところで学ばれるのが大切です。
うまく治せないような先生に習っても、それなりの技術しか身につかないですし、規模は大きくても、治療経験や実績の乏しい先生が教えておられることもあります。
しかし何よりも大切なのは、周りの環境云々よりも、整体師になって多くの方の苦しみを改善してあげたいと思うような、強く純粋な気持ちです。その気持ちさえあれば、自然に知識や技術が増し、口コミやご紹介も増えて、整体師として立派にやっていけると思います。 |